先日の投稿の続きになります。
素人ですが、ララ・クロフトをクリスタだけで漫画風に描いてみます。今回、一番やりたいことは「スクリーントーン」を貼るという作業です。
1スクリーントーンは高価
随分昔の中・高学生時代ですが、マンガというのはそれなりに裕福な家の人でないと描けないものだった記憶があります。
というのも、普通の経済力の学生には、マンガの味付けに使う「スクリーントーン」が、べらぼうに高価なものらしく、あまり消費できない、思いっきり描けないという話を当時の同級生から聞きました。
現在は、PCで漫画を描けるのでその心配はなくなっています。PCの中によく使う「トーン」が無限大の面積分入っていて、失敗を恐れずに使いまくることができます。
素人のくせに、Phososhopでなく、わざわざクリスタを使う理由は以下の通り。
- モノクロの線がきれいに簡単に出せる
- スクリーントーンの種類が豊富
- Photoshop と操作性は同じ
- マンガ的な表現が予めプリセットされている
モノクロの線だけにこだわるのなら、SAIというペイントソフトを好む人が多いです。私もフリーソフト時代は使用しよう使ったことがありますが、結局 Phososhop とIllustrator だけでなんともなるだけの作業しかやらないので、私の中ではコミスタ(クリスタの前身)と同様、フェードアウトしていました。
クリスタ自体は昔から使ったことはあるのですが、使ったことがある程度でマンガそのものは描いたことがありません。
しかし、あまりにも創作活動を楽しく行っている人たちを眺めていると、素人ながら何かやってみたくなります。マンガ的なデッサンそのものは素人で、イラストもあまりやったことはないとはいえ、クリスタを宝の持ち腐れにする気はないので早速使います。クリスタというのは、ちなみに「CLIP STUDIO PAINT EX」のことです。
2ララ・クロフトのイメージ
まず、今回の肩慣らしをやるにおいて、私の中にある「ララ・クロフト」のイメージです。
- 肌は浅黒く、筋肉質のポニーテール
- 洒落たガンベルト
- パワーのある2丁拳銃
映画「トゥームレイダー」の初版、アンジェリーナ・ジョリーが演じたララ・クロフトのイメージに近いかと思います。でも、セクシーな女性というより、筋肉質感たっぷり、レスラーよりパワーはないけど、俊敏、女兵士、軍人っぽいっていうイメージです。Google検索すると色々出てきますが、動きとパワーのイメージがマッチしない美女タイプのララ・クロフトは、今回は無視です。
検索結果の一番目に出てくるCGが最も私のイメージに近いです。(二番目に出てきたララのアリソン・キャロルは運動能力抜群の体操経験者らしい)
3ララ・クロフトの銃はどうか
漫画を描くときは、ディテール(細かい点)に拘ってないと読んでもらえないと言われます。ララ・クロフトの場合、使用している銃を適当に表現してしまうとアウトです。ちょっとしたガンマニアが見れば、この絵を描いた人は、ただ女体を描きたいだけなんだなとと誤解してしまいます。そのため、ララ・クロフトにおいて銃とポニーテールは拘って作り上げる必要があると思います。
Google の検索結果によると、ララ(映画『トゥームレイダー1』)の使用している銃はドイツ製、9ミリのステンレススライドタイプ「HK USP マッチ」、競技仕様の限定生産品らしいです。限定版は重さが弾倉抜きで1キロ超えなので、これを二丁扱うわけですから、ララが筋肉質でないと不自然です。先のララの検索で出てきた美女系のお嬢ちゃんが扱うものとしては、ちょっと無理っぽい重さですね(プラスチック感が出てしまいます)。
なお、真偽の程は不明ですが、この銃は日本の海上保安庁の特殊部隊でも使用されているというウワサがあり、性能は良いんだと思います。重くて、殺傷能力は低めで命中率が高いということなんですかね。
4早速ラフ画を始める
1600x1200pxの72dpiで描き始めますが、私の環境(Ryzen 7 3700X 32GB)だと少々カクつくことがありました。おそらく、バックグラウンドで1,000近いタブがブラウザ内が動いているからでしょう。そのため、画像サイズを切り捨て(切り抜き)ファイルサイズを小さくしています。
上のラフは、「ペン」→「パステル」→「木炭」で5分ほどです。レイヤーは3枚ほど消費しています。
絵画したいわけではないので、わざわざ「木炭」を選ぶものかという人も多いと思うのですが、素人にはシャーペン(の線)で描き続けるには、モロに自分の下手な絵と対峙する勇気が必要になり、よっぽどメンタルが強くないとやる気が続きません。私レベルの人は、素直に「木炭」で行きましょう。気持ちが落ち着く分、PCが木炭感を表現するので、少々CPUの負荷は重くなります。木炭で表現しきれないところは、ツールを鉛筆に変えてラフを描きます。
5ラフにペン入れ
次に新たなレイヤーを作成し、Gペンで先程のラフから好みの線を選んで、ペンを入れていきます。ここはペンタブレットの設定次第という感じですが、不満が出たり不安ならワコムのIntuosを選ぶべきでしょう。【XP-PEN】の方が安いのですが、私の場合特に不満は感じていません。どちらにせよ、8192レベルの筆圧感度があります。
なお、私はワコム製のIntuos3という20年近い前のタブレットも愛用しています。ペンの太さが、今でもこちらはいい感じの反応です。ただし、ドライバが古くメーカーは更新する気もないようで、なんとかしてほしいです。Intuos3を現役で使っている人って、私だけではないはずで、おそらく星の数ぐらいい存在すると思います。Intuos3ぐらいの精度(4096レベルの筆圧感度)のほうが、絵の下手さをカバーできるように思う。
(私のペンタブレット用途は描画ではなくて写真レタッチです)
とりあえず、Gペンを入れた感じがこうなりました。実はGペンを使うのは始めてなので、なんかサインペンで描いたみたいになっています。腕を上げれば、もう少しマシな線がかけると思います。
銃がいいかげんで、足がむっちりしている感じになっているのですが、ここは塗り(スクリーントーン)で筋肉質風にカバーしようと目論んでいます。
何度かラフを試して感じたのですが、少女漫画風に足を長く細くしてしまうと、華奢なモデル体型になってしまい、私のイメージとはかけ離れてしまいました。そのため、モデルを参考にするときは筋肉質の外国人女性の格闘家か、ボディビルダーから印象を得たほうがしっくりきます。
また、タイツ(ホットパンツ)をダラダラ大きく描いてしまうと、少女っぽい感じになりますので、ズバっとパツパツに表現したほうが良さそうです。
この点も、絵を描きたいと思うモデルを各自選べばいいだけです。私は今回は、ゲームのCGの方を主に参考にしました。
6定規ツールを使って、微調整
この段階まで来るのにに、私は一日目の数時間要しました。クリスタは、かつての「コミックスタジオ」として販売していた時代と、機能やらが増えているので、ソフトの使い方を思い出すのに手間取ったという感じです。基本的に Phososhop と同じ作業ができるので、画面や素材の切り替え以外は、特に間違えそうなポイントはありません。
ラフから起こした銃があまりにもダサいので、やり直します。レイヤーを増やして銃だけ描き直します。描くと言っても、銃の冷たさを表現したいので、定規ツールでズバズバ直線を使っていきます。この点はデジタルでやってると楽できるポイントですね。
直線でクールな武器的、ちょっと、狙った感じが出ました。何分、ツールが使いこなせていないので線がダサいのですが、ご了承ください(これは私の力不足によるものです)。銃の部分は直線定規ツールと図形定規ツールで、線を補佐しています。定規とする線(図の紫のライン)をなぞるだけで、強弱のついた直線が引けます。
渡しの場合、タブレットの調子が甘いのか、筆圧設定が硬いのか、線が単調な感じになっています。ここは今後の課題にします。
なお、定規ツールそのものは簡単に使えるツールで、定規の設定さえすめば、上の二丁の銃程度なら作業時間は数分でした(ちなみに定規の設定に10分近く消費したかも)。
私のレベル的にはこの程度で十分すぎるのですが、定規ツール使ってこれかよって批判もありそうなので、もう少し、UK USP マッチの特徴を入れようと思います。ガンマニアが見て、コイツ意識しながらキャラクター描いてるなと思ってもらわないとアウトだそうです。
プロなら、この段階でさらに線を直して、品質向上に務めると思いますが、私が今回やりたいのは「スクリーントーンを貼る」ことなので、ペン入れの修正は最小限にします。主にハミでた線を消しゴムツールやブラシを使って消し、つなげるべき線はつなげるという作業にとどめます。のちのち不満が出ても、デジタルデータとして保存できる、ある程度腕が上がってから再度、修正し直すというような後出しのズルもできます。
7スクリーントーンを貼って、さらに微調整
「スクリーントーン」を貼ると、一気にそれなりのプロっぽく見えるため、この部分は試行錯誤する値打ちがある部分だと思います。
塗りだけで絵が描けてしまう猛者もいますが、よくあるマンガ的な表現をするなら、スクリーントーンを普通に貼って、モノクロながら色がついた絵に見せる手法がやっぱりメジャーです。
一方で、青木雄二氏(故人)のようなプロは、『「スクリーントーン」みたいな卑怯なツールは、プロには不要、下手くそが自分の画力を補うために使うもの』と言っていたことも思い出します。
一本一本、青木氏のように手描きで表現する「手描きトーン」は作品としては最高のものですが、普通の人がやると、普通は腱鞘炎か、締切時間に追われる羽目になるのではと思います。私の場合は、まずスクリーントーンの使い方をマスターすることから始めます。
このままだと、下手くそにしても、見れたものではないので、目と口を丁寧に描いて、とりあえず作品風(の数歩前)程度にまで仕上げます。
目の部分は、やはりペンタブレットか、Apple Pencil のようなツールがほしいところです。タッチパネルやマウス操作だけだと、時間を異様に浪費するか、そもそもの精度が出せません。
二丁の銃に関しては、UK USP マッチの特徴を少々描き込んでみます。顔に関しては、とにかく目と瞳をしっかり描けばなんとかなるという鉄則がありますので、丁寧に作業します。丸ペンで、ペン先のサイズと筆圧を変えながら、なんとかします。プロは間違いなくペンの強弱だけで表現できるところですが、ソフトに慣れない+技術力不足で下手な線になっています。修行は続けますので、今回はこんな感じで見苦しさはお許しくださいということです。
髪に関しては、私の場合要修行ということで、スクリーントーンで処理します。
上の図では、背景透明色のまま処理しているので見にくくなっていますが、色を付けて作業するのが定石かもしれません。
モノクロで浅黒い色を表現したかったので、変な先入観で作業しないために透明まま塗り(トーン貼り)をやりました。
8スクリーントーン作品を出力する
スクリーントーンをふんだんに使った作品は、出力に気をつけたほうがよ良いようです。適当なペイントソフトで解像度を変更して出力すると、モアレになったりします。
そのため、出力サイズをクリスタの方で指定して出力すると、トーンが崩れません。地味にありがたい機能です。
参考程度に他のソフトで試してみたスクリーントーンのjpeg出力です。同じ型番のトーンを貼っていないので、トーンそのものより、トーンがしっかりjpegで出力されているかをチェックしてみてください。
クリスタの方がトーンの種類が多いので、結果的にはきれいに出力できることが多いです。またトーンの変更も簡単です。
結局、3日に分けて、数時間以上ずつ格闘してできたものは、こんな感じです。トーンの貼り方などは公式サイトの解説ヘルプを参照しました。
肌の浅黒い感じと、ツーハンドのガンマン(ガンウーマン)の強さを出したかったのですが、少し無理がありました。私が感じたところ、現状では自身の画力はこれ以上望めないので、後はスクリーントーンの貼り方を徹底的に研究して完成度を上げるしかありません。
服のシワとと肌のシワは想像力でなんとかするしか無いですが、トーンで処理するしかなさそうです。実際のモデルか3Dのモデリングで参考図柄が必要ですね。
9次回の課題
女性の筋肉美みたいなものを表現するのは、現在の私の技術が足らなさすぎなので、別の方法を考えます。色塗りとトーンの貼り方で表現するしかなさそうです。原哲夫氏のような天才的画力があれば、トーンもへったくれもないんでしょうけどね。
絵を書いただけなので、ソフトのレビュー態度につか使えず、次はストーリーをもたせる絵を数枚作成したいです。
また、クリスタで手軽に絵が描けることがわかったので、マンガを描かずに使うとしたら、今後はクリスタでラフ画を作成し、この線画をMohoやCartoon Animatorでアニメ化してみたいと思います。
今回使用した「クリスタ」ですが、かつてのコミスタより使い勝手が良くなっている感じです。マンガ描きそのものは、私自身ドシロウトなので、機能を触ってみたという程度のことしかしていませんが、Corel Painter や Adobe Photoshop では難しすぎるペン処理がたやすくでき、描いてて楽しいです。
クリスタはコミュニティの繋がりにも投資することになるので、とにかく金銭出費を抑えたい方は、タブレットなどに無料でバンドルされる、フリーソフトでも構わないと思います。SAIのような低価格で優秀なソフトもありますが、現在なら「CLIP STUDIO PAINT EX」に投資しておくほうが、のちのちのことを考えると、おすすめです(SAIはそれでも優秀)。
前回紹介したハイド氏の動画によると、マンガというのはアートとは別の世界感なので、「努力した感じが読者に伝わる絵はアウト」っぽいです。もちろん手抜き感や下手くそ感が満載で伝わるのも良くないそうですが、一見下手くそに見えてもマンガとしてはうまいものは山ほどあるとのこと。画力は並々でも問題ないそうですよ。話さえ面白ければ。
今後は素人の4コマ漫画みたいなものにチャレンジしたいですが、すでに奥の深さにビビっています。
数人程度に読んでもらえれば満足な感じです。
安く旅すること、デジタルモノを安く手に入れること、そして安くても使いこなすことをモットーにブログを書いています。典型的なデフレ対応型なんだなと自覚しつつ、日夜物欲と対峙し断捨離を心がけるも、うまくいかない毎日であります。