有料年賀状ソフトの売れ筋「筆王」のマジレビューです。
別記事で、今年の当サイトのイチオシは「筆まめ」ですが、去年「筆まめ」買ったから今年は別ソフトを使いたいというような場合は、「筆王」をまずチェックしましょう。
「筆王」は「筆まめ」より収録素材は少ないのですが、それ以外の機能は「筆まめ」に勝るとも劣らずというソフトです。
はがきの購入から投函まで、まとめて代行してくれる「ネット印刷」も、確か「筆王」が初めて始めたように記憶しています。「筆王 Ver.25」からはセブンイレブン印刷にも対応していますので、「筆まめ」とマジのタイマン張っているソフトですね。
私が筆王というソフトを初めて使ったのは、まだ2000年に突入するかしないかの頃だと思います(確か当時はアスキー製品だったはず)。ということは、20年も昔からあったということになるので、えらく年季の入ったソフトということですね。
筆王は当初から低価格路線でしたので、ガキっぽいオモチャという印象を持っていました。意味もなく「エリートはPhotoshop と FreeHand(Illustrator)でデザインするのさ」という雰囲気が普通にあった頃です。余談ですが、インクジェット紙の年賀状の品薄すぎて入手困難が続いた記憶があります。
ある機会に、「筆王」をプレゼントされたことで初めて使ったのですが、似非エリートがエラそうなグラフィックソフトで8時間以上も消費して作った年賀状デザインより、「筆王」で20~30分程度で仕上げたデザイン画の方が見栄えが良いという、不都合な真実に気付いたのもこのころです。
「餅は餅屋」といいますが、個人レベルのハガキのデザインは、時間をかけずに年賀状ソフトを使うのが手っ取り早く安上がりです。
筆王の収録イラストの品質はどうか?
かつての筆王をはじめ、年賀状ソフト一般に言えたことですが、収録素材がダサすぎで使えば「大恥」かくレベルのものが多かった事実があります。ところが、2010年に差しかかる頃をメドに、フリー素材のレベルが高くなり、適当なゴミ素材を詰め込んだはがき作成ソフトは淘汰されてきています。
「筆王」の収録素材の品質は高いと思います。巷で3,000円程度ではこの品質の素材は手に入らないので、素材集としても格安です。
(高解像度という意味ではなく、使い物になるTPOをふまえた痒い所に手が届く素材という意味です)
素材をざっと眺めてみても、10~40代までに無難に使える素材です。デザインの趣味もいいと思うので、そのまま使って、さらに手書きで一言添えれば万人受けするものが多いです。
収録フォントに関しては「筆王」だろうか「筆まめ」だろうが、155書体付属していても、使い物になるフォントはどれくらいあるのかという点が問題です。
こればかりは趣味の問題なので、人それぞれですが、私の場合で言えば和文書体の中から気に入って使ってみようと思うものは、その10分の1ほどしかありません。
ちなみに、「筆王」も「筆まめ」も「FDバジョカ系(バジョカフォント)」の書体がついてくるので、無駄に手書き風のデザインをする必要もないと思います。純粋にフォント作成者に敬意を表して、そのまま使っても絵になりまとまりますよ。
2分でどこまで作れるか
お手軽ソフトなので、年賀状レベルのものを2分でどこまで作れるか試してみます。
「丑」のイラストと背景はそのまま素材集から貼り付けるだけで、選ぶ作業に30秒、貼り付けるてレイアウトする作業に5秒ほと、「手書き風ツール」であいさつ文を作るのに20秒、「手書きペン」で落書きに10秒、はんこツールでハンコ風のイラストを作るのに20秒、「書道ツール」で30秒と、約2分強で上のサンプル程度は作れます。
作業そのものは超カンタンで、一番時間を消費するのは「選ぶ」作業です。
図案を選び、フォントを選ぶ作業が、一番やり直し回数が多いので、結果的に時間をとりますが、素材自体は選びやすいパレットタイプになっています。
左下の「プレミアムツール」は別売ですので、注意です。
プロ書道家監修の「美麗レイアウト」はイマイチ?!
「美麗レイアウト」というのは、連名でハガキを出すときなどのレイアウトが綺麗、格調高く美しい宛名面とのことですが、サンプルを見る限りあまり大したことないなという感じです。格調の高さなど出ていないと思います。
プロ書道家監修とありますが、名前も出ておらず、どこの誰かもわからないので、「自称プロ」という程度だと思います。
思うに、個人的にイマイチ感を持ってしまうのは、サンプルの「流麗行書体」フォントが汚いからなのかもしれませんね。フォントを他のものに変えれば、かなりマシになる感じもします。
ところが、フォントを変えるわけにもいかない「複字体」
「筆まめ」独自の機能で、同じ漢字が複数個所で使われる場合は、手書きのように、書体が微妙に変化させることができます「複字体」。
面白い機能ですが、フォントが自分の趣味に合わない場合は宝の持ち腐れというか、使えませんので、微妙な機能ですね。
フォントは趣味の問題ですので、自分には汚いフォントだと感じても、受け取る側が「美しい」と感じてくれれば大成功です。
個人的には、このフォントはゴメンナサイでした。
筆王の「はんこツール」はどうか?
年賀状はやっぱり、ハンコ風のスタンプデザインを加えたくなるのが日本人です。「筆王」も「筆まめ」もハンコ画像を作製できますが、「筆王」の方が少しレアウトしやすいかなという程度で、大きな違いは感じませんでした。
起動したらデフォルトのフォントが「MS 明朝」になっていたという点は、配慮が足りない気がしますが、ひと手間かかりますが使えるツールだと感じます。
筆王こだわりの「手書き風ツール」はどうか?
よくあるツールで、文字を入力すると、毛筆調のフォントを加工して手書き風にしてくれるというやつです。
乱筆な人なら、この手のソフトはありがたいのかもしれませんが、受け取る側の気持ちをどう読み取るかによって、このツールを使うかどうかは迷うところです。
個人的には、毛筆フォントを加工した手書調は、正直ウザイ感じの印象を持ってます。というのも、出回っている毛筆フォントそのものがイマイチで、もともと上手くない文字をフォント化しているので、それをどう加工しようがヘタクソ手書きにしか感じないからです。
もしかして、そういう意見が多いのか、「書道ツール」が付属していて、マウスやペンタブレットで文字カキする、デジタル手書きができます。
どうしても手書き風が欲しい人は、多少下手くそで、ギザギザ文字になったとしても、「受取人の注目を引く」という意味においては、「書道ツール」で使う方がおススメです。
上の画像は、「書道ツール」を使ってマウスを2秒ほど動かして線を作り、色を設定しただけです。2~3度書き直せば適当なものが簡単に作れてしまいます。墨の濃淡っぽく仕上がってくれるので、それっぽく見えますね。
ぶっちゃけ、ハガキサイズですので、この品質で使い物になります。使った感じでは、ペンタブレット的なものむしろ白々しくなるので、マウス作業で十分でした。「筆まめ」の手書きツールでは、このような墨の感じは出ないので、この機能がいいと思った方は「筆王」の方がいいですね。
さすがの印刷機能は健在!
自宅のプリンタでエクセルではがきに直接印刷すると、印刷ずれが大きく出たりして困ることがあのりすが、年賀状ソフトではそのリスクが激減します。
印刷位置を上下左右0.1ミリ単位で調整できたり、薄墨印刷などにも当然対応です。
しかし、手間を考えると筆王の印刷サービス「ネット印刷」を利用するのも手です。
はがき代は別で、1枚当たり97円必要になる印刷サービスですが、はがきの購入、印刷、投函までまとめて代行してくれるので、人によっては重宝するサービスです。
例えば、海外滞在中でも「筆王」で年賀状(ハガキ)作成、「ネット印刷」に出せば思い通りに届けてくれます。
セブンイレブン印刷の場合は、はがき代別で1枚当たり80円です。投函は自分で行うことになりますが、印刷後すぐに自分で実行できるというメリットがあります。急ぎの時は便利ですね。
地味にうれしいツール群
最近は、一般素人でも動画撮影が普通になっていて、写真はないけど動画はあるというケースが少なくありません。その場合、動画の一シーンを写真化したいことが良くあります。
「筆王」は「動画から写真を切り出し」に対応しているので、この点は便利です。
また、LINEやTwitter、ホームページなどを持っている人は、文字で書き出すよりさっさとQRコードをもらった方が助かることが良くあります。「筆王」は「QRコード」も作成できるソフト(しかも動作も軽快)が付属しているので、この点は便利です。
もちろん「筆まめ」ユーザーもフリーソフトを使えば、同様のことはできます。
筆王 Ver.25 まとめ
ベストセラーソフトだけあって、痒いところに手が届き、ほとんど完成してしまった感じもします。
筆まめとの違いは、細かいところでは確かにあるのですが、大きな違いはやはり収録デザインの好みになると思います。
収録デザインは二の次という場合は、筆王に付属してくる各ツール群は使い物になるので魅力的ですね。はがき作成ソフトをまだ持っていない、使ったことがないという人は「筆王」を一つ持っておけば、大半の郵便ハガキ関係に対応できます。
安く旅すること、デジタルモノを安く手に入れること、そして安くても使いこなすことをモットーにブログを書いています。典型的なデフレ対応型なんだなと自覚しつつ、日夜物欲と対峙し断捨離を心がけるも、うまくいかない毎日であります。