一万円しないプロ向け映像製作ソフトVegas Pro 17の、誰でも即日結果の出せる即席使用法の前編です。
動画製作ソフトに対して、「プロ向け」という売り文句は初心者にとってハードルになるのか、初心者ユーザーをしっかりとりこめているのか気になるところです。「プロ向け」と表記しておけば、使い方が難しくても「プロ向けだから」と言い逃れることができて、売る方からしてみると、大変都合がいいともいえます。しかし、「Vegas」はこの逃げの「プロ向け」表記ではなくて、「プロでも満足できる」という積極的な意味で使われています。日本ではそこまでメジャーではありませんが、版元の Magix がプロ向けの映像・音楽ソフトを扱う会社ですので、適当なソフトをプロ用としてリメイクしたものとはそもそも出来が違います。
つまり、Vegas はプロ向けの機能をアマチュア用に作り直したようなソフトではなく、プロ仕様そのものを、アマチュアでも間違えず操作できるように、練りこんだソフトと表現する方がしっくりきます。
今回は、プロ向けのプロが使う機能を無視して、誰でも使えるアマチュア用のお手軽動画編集ソフトのように使えるという点をレポートします。
1動画編集の一般的な流れ
Vegas 起動時の画面です。どのような動画ソフトも、画面構成はよく似ていると思うのですが、使い方が大きく違うので、Vegas でできることが他のソフトでできるわけではなく、その逆も同様です。
Aは動画や音楽・効果音、テロップなどを配置する「タイムライン」エリア
Bはタブによって複数機能が割り当てられています。さまざまな用途に利用するための多機能エリアです。
Cはどのような映像になるのかを確認するための「プレビュー」エリア
上の例のような、ウインドウレイアウトにならない場合は、いったんウインドウレイアウトをリセットしてみてください。慣れてくると、自分の好みのレイアウトを使うようになると思うので、「レイアウトに名前を付けて保存」をしておくといいと思います。以前のバージョンの Vegas のレイアウトに慣れている方は、トリマーエリアが表示される「Vegas 14 デフォルト」を選ぶと移行しやすいと思います。
Vegasに限らずとも、どの映像製作ソフトを使用する場合でも、基本的な作業の流れは下記のようになります。
- 使用する動画を選ぶ
- 動画の不要部分をトリミング
- 動画をタイムラインに配置
- トランジションやエフェクトを適用
- 見やすい再生速度に調整生
- BGMや効果音を入れる
- 動画にタイトルやテロップを入れる
- 画面の不要部分を切り取る(クロップ)
- 動画ファイルとして書き出す(レンダリング)
実際の動画編集は上の前半((1)~(3))プロセスが主役です。ふさわしい動画を必要な長さで、見せたい順番を決めることが、動画制作のキモになります。後半((4)~(8))のプロセスは、前半がしっかりできていれば、内容そのものに大きな影響を与えません。プロっぽく映像の品質を少しでもアップするために行います。
2使う動画を選ぶ
イロハのイになりますが、まず Vegas で動画編集を始める前に作業用フォルダを準備します。
[作業のコツ]編集を始める前に作業用フォルダを作成する
動画、写真、BGMファイルを1つのフォルダにまとめてしまうと、ファイルが増えると目的のファイルにアクセスしづらくなります。そのため、動画、写真、BGMファイルは別のフォルダで管理するのがオススメです。またファイル名にも工夫が必要です。解像度やフレームレートなどが重要になる場合は、ファイル名に含めておくとよいでしょう。撮影カメラが変わると、色合いも変わりますので、どのカメラで撮影したかわかるようにファイル名をつけておくといいと思います。
Vegas を起動したら、まずBエリアの「エクスプローラ」タブをクリック(図の1)し作業用フォルダを開きます。デフォルトではサムネイル表示になるはずですが、ファイル名だけで十分判別できる場合は、「表示」を「詳細」に設定して(図の2)、動画の作成時刻などの情報を参考にできるようにします。
作業フォルダの中のファイルを1つずつその確認して、使用するファイルを決めます。サムネイル(もしくはファイル名)上で右クリックすると表示されるメニューから「メディアの再生」を選ぶと、「プレビュー」(Cエリア)ですぐに動画が再生されます。その動画を使う場合は「プロジェクト メディア リストに追加」(図の3)します。この作業は、作業用フォルダの中に放り込んだファイルの中で、これは使う、これは使わないという選別を行い、「プロジェクト メディア」タブから簡単に目的のファイル(選んだファイルだけに)にアクセスできるようになります。
3動画の不要部分をトリミングする
使用する動画を選んだあと、今度はそれぞれの動画から使用する範囲を切り出(トリミング)します。冗長で長い動画は退屈しがちですので、無駄な部分をカットします。
サムネイル上で右クリックして表示メニューから「トリマーで開く」を選びます。プレビューエリアのタブが「トリマー」に切り替わりますので、必要な部分をドラッグして選択します。キーボードの「A」を押すと、タイムラインのカーソルの後に選択した範囲の動画が追加されます。「タイムラインのカーソルの後に追加」アイコンをクリックしても同様です。
もう少し丁寧に選択したい場合は、切り取りたい初めのフレームで「I」キーを押して開始位置(インポイント)を指定、「O」キーを押して終了位置(アウトポイント)を指定し、最後に「A」キーを押してタイムラインに追加します。タイムラインに追加する前に、黄色のつまみをドラッグして微調整することもできます。
4動画をタイムラインに配置する
先ほどのプロセスですでに、タイムラインにいくつか動画が配置されていると思いますが、トリミングするまでもない動画などは、そのまま、先ほどのBの多機能エリア「プロジェクト メディア」から、動画ファイルをAのエリア「タイムライン」に、再生したい順番に右からドラッグして配置していきます。タイムラインに間違えて配置したら、「DEL」キーを押して削除し、再配置すれば大丈夫です。削除しても元の動画は何の影響も受けません。
このプロセスは映像全体の構成を決定づけますので、素人であっても、プロであっても手を抜くことは許されません。ゴミを作り出すか、作品になるかの分かれ目になります。ここがダメだと、あとから再編集する余地もなくなってしまいますので、楽しんでください。
内容のある動画がまとまっていれば、ここまでで動画ファイルに書き出しても問題ありません。さらにタイトルをつけたり、動画をきれいにつなげたり、BGMを入れるとプロっぽく仕上がります。
後半に続きます。
安く旅すること、デジタルモノを安く手に入れること、そして安くても使いこなすことをモットーにブログを書いています。典型的なデフレ対応型なんだなと自覚しつつ、日夜物欲と対峙し断捨離を心がけるも、うまくいかない毎日であります。