POCKETALK(ポケトーク)の新型(ポケトークS)が発表されたので、早速レビューです。発売前の新製品を手に取る機会はあったので、さわってみて、これは購入しておこうと思いました。もちろん購入予約もしています。
ポケトークを含め、この手の翻訳ツールは英語特化型なのですが、実際のところ、海外旅行では英語以外の言語の翻訳の方に助けられます。昨年ごろから Google翻訳がパワーアップして、事実上ポケトークはオワコンだと思ったことがありましたが、そうでもないことに気づかされました。
さっと印象をまとめると
・Google 翻訳と何が違う?
・ワンタッチで翻訳できる
・世界中でつながる
・翻訳精度に優れる
・とにかくコンパクト
もくじ
1使い勝手:とにかくコンパクトで持ちやすい
専用翻訳機ですので、使い勝手は最高です。バカみたいなことですが、ワンタッチで真ん中のボタンを押すだけで翻訳ができるのは大きなメリットです。スマホアプリの Google 翻訳だと、起動、タッチ操作というプロセスになりますが、ポケトークはボタンを押すだけで翻訳が始まります。
これの何がメリットかと言えば、相手(外国人)にポケトークを渡して、ボタンを押して何か話してもらう、という操作がとてもスムーズに行えます。この動作がコンマ何秒でもずれ込むだけで、会話のリズムは失われ、下手したらビジネスチャンスまで失いかねません。この単純さは、使ってみればすぐに体感できます。アンドロイドスマホでGoogle翻訳を立ち上げて話してもらうのと,ポケトークに話しかけてもらうのでは、外国人の注意の向き方が違います。
ポケトークはクラウド型の翻訳端末ですので、翻訳辞書というものを本体の中に持ちません(本当は少し持っています)。ポケトークに入った音声を、携帯電話網を利用してクラウドに送り、ホスト側がその翻訳結果をポケトークに戻すというシステムです。端的に言えば、翻訳機能限定のパケット通信ができるスマホのようなものです。その通信費が二年分で三万円だというように考えていいと思います(実際のところ端末費用はそれほどのものではないはず)。
このクラウド型の翻訳機の優れるところは、常にホスト側の認識エンジン、辞書がバージョンアップされるという点です。数日前にはうまく翻訳できなかったフレーズが、いつの間にかふつうに音訳できるようになっていることは、誰もがすぐに経験します。
逆にデメリットとしては、携帯電話網が使えないエリアでは、ポケトーク自体が機能しなくなります。ヒマラヤや無人島やスペースコロニーでは使えないというレベルですので、クラウド型の方に優位性を感じます。
価格の三万円の中には二年間のクラウド使用料金が含まれていると言いましたが、三年目以降はどうするのかという点が気になります。この場合は、追加の通信権(一年分で5,000円)を購入できるようになっています。価格はそれほど安くないので、二年を目安に新ポケトークを購入することを奨励しているようにも感じます。ちょっと昔の、携帯電話の販売と同じ感じです。
2クラウドにはスムーズにつながるか?
コンパクトさのみならず、通信の速さなども含めて、スマホよりも活用の機会が多くなります。日本国内ではauで有名なKDDIの回線を主回線にしているそうで、その結果通信が安定しているそうです。KDDIが使えないところではNTTドコモの回線を使うとのことです。国内ではどちらでも速いとは思いますが、気になるのは海外の回線だと思います。本当に必要な海外で通信が確立されなかったり、遅かったりするとこまります。この点に関しては、当方が自前のポケトークを使用して、徹底的に調査してみようと思います。
以前のバージョンと比べて、接続速度が速くなったように思うのは、回線変更のみならず、クラウドの使い方を変えたからだそうです。前バージョンでは、ボタンが押されるとまず通信回線を開いて、クラウドに接続してから、音声データを取り込んで翻訳を始めていましたが、新バージョンではボタンが押されると、まずボイスレコードして、そのデータをクラウドにアップロードして翻訳を開始するというプロセスになっています。そのおかげて、通信回線の接続に手間取って、音声の頭が切れてしまうことがよくありましたが、新バージョンでは解消されています。
この機能は、ファームウェアのアップデートで旧モデルPocketalk Wでも対応しますので、旧機種でも使えます。アップデートすれば、ボタンを押してから一呼吸おいて話しかける必要はなくなります。
販売価格にグローバルSIMの二年間の使用権がついていますので、どこの地域で使えるかが気になるところです(「Wi-Fiなしでも使える、世界133の国と地域」)。主要な国では普通に使えるのですが、気になる点としては太平洋の島々では、はたしてどれだけSIMが使えるか検証してみる必要がありそうです。アフリカや紛争地域、グリーンランドや南極では使えませんので、アフリカや紛争地域が大好きな方は注意してください。
3画像翻訳と翻訳精度
画像翻訳はGoogle翻訳の画像翻訳と同じ機能です。カメラで掲示板やメニューなどを撮影して、翻訳するする機能です。当初、Google のライセンス下で搭載した機能だとばかり思っていましたが、翻訳エンジンはどうも違うようで、Google翻訳とは違う結果が出てきます。現在のところ、ポケトークの翻訳精度の方が正確にヒットしている感じをうけます。
実物をさわるまでは、Google 翻訳と大差ないか、Google のライセンスで同じエンジンを利用しているものと思いこんでいましたが、そうでもないようです。細かいところに手を入れて改良しているのか、翻訳結果が Google と大きく異なる点もみられます。しかも、単純な看板やメニューなどはポケトークの方が実用的な翻訳を返します。
上の二つは、画像を取り込んで(カメラで撮影して)翻訳にかけるプロセスを、Google翻訳と比較したものですが、Googleの方が翻訳が硬くすぐに理解しにくいです。
一方、少し長文になると Google 翻訳の方が有利です。ポケトークは話し言葉に代表されるような、単発ですぐに返事が欲しいような会話文に対しては、圧倒的な優位性を発揮します。
さて、この優位性が持続できるのかどうかは今後のポケトークの売れ行き次第という気もします。今現在は少なくとも優位にあると断言できますので、その優位性が半年やそこらで失われるということはなさそうです。
翻訳言語について、少しだけ注意!
主要言語のみならず、マイナー言語にも対応するポケトークですが、私が個人的に気になったのが「スペイン語」です。おそらく需要もそれなりにある言語だと思いますが、スペイン人が使うスペイン語に関してはほぼ完全対応しています。しかし、メキシコ人やアルゼンチン、コロンビア、ペルーといったスペイン以外のスペイン語に関しては、本家のスペイン語にもどされてテキスト表示、音声翻訳されます。これはカナダで使用されているフランス語も同様で、基本的にはフランス本国で使われているフランス語で翻訳されます。英語に関しては、文字のスペルアウト米国式になります。音声翻訳は英語、米語の二通りですが、インド人の英語やオーストラリア人の英語で翻訳しなおしてくれるわけではありません。まだ、試せてしませんがインド人の英語をどけれだけの精度で訳せるのかは興味深いところです。
4通貨換算ツール
クラウド型のメリットとして、最新のレートで通貨を換算できる点があげられます。外国人にものを売ったり、外国に行ってものを購入するときは有益な機能です。たとえば、外国に行って真っ先にSIMカードを入手する際にも、通貨換算すればそれが高いか安いかの目安はつきますので、重宝します。
ただし、換算は普通に通過を変換しているだけなので、カードなどで支払うと実際に請求される金額とは同じになりません。カードのブランドによっては、換算レートが支払い時期と前後しまうので、注意が必要です。おそらく、換算して出した金額より、少し多く請求されるケースが多いのではと思います。
5語学学習ツールとしての用途
語学学習でやらねばならないことは、読み・書き・話すというプロセスです。読むことと書くことは受験英語をやったことがあれば、誰でもそここそできます(海外の標準的レベルより日本人の方が上位です)。問題は、多くの人がないがしろにする話すというプロセスです。これが、日常的に話す相手がいない限り、何ともしがたいのがこの「話す」というプロセスです。
そこで、ポケトークが活きてきます。適当な言語で話しかけて、それがきれいな日本語に翻訳されれば、それなりに自分の発音が通じていることがわかるからです。この入門学習的な利用方法は、かなり効果的で簡単な外国語の入社試験、入学試験程度なら十分にカバーできます。
6旧機種、ポケトークWと比べてどうか
新機種ポケトークSに触れたときに、すでにポケトークWはすでに旧機種感が漂っていました。まず新機種は旧機種より25g軽量化されて75gになっていること、しかも画面が2.8インチと大型化された点において圧倒的に優位に思いました。特に決め手になるのが、新機種には使い物になる画像翻訳(カメラで撮影した外国語を翻訳)機能が付いてきた点です。
一方、旧機種なりのメリットは確かにあります。まず新機種より一万円も安い価格が再設定されたこと。バッテリー容量が2.5時間分新機種より多いことがあげられます。
7限定エディションは価値があるのか?
オメガのシーマスターにもジェームス・ボンド・モデルがあるように、WEB限定ですがポケトークにはドラえもんEditionなるものが存在します。オメガの場合は自己満足程度の意味合いしかありませんが、ポケトークの場合は意味が違ってきます。というのも、ポケトークは相手にマイクのように手渡して、ポケトークに話しかけてもらう用途が多いものだからです。その時に、ぶっきらぼうのポケトークより、世界的キャラクターのドラえもんを渡した方が、好印象を持ってもらえます。特に商売ツールてして使う人は、ドラえもんEditionに投資する意味は十分にあると思います。
このドラえもんEdition、ライセンス料金の高さから本体以外はドラえもんを使うことができないそうです。箱もドラえもんカラーにはしていますが、ドラえもんにしていないという微妙な心遣いです。「ほんやくコンニャク」ケースと合わせて使うと、マニア心をくすぐるかもしれません。
安く旅すること、デジタルモノを安く手に入れること、そして安くても使いこなすことをモットーにブログを書いています。典型的なデフレ対応型なんだなと自覚しつつ、日夜物欲と対峙し断捨離を心がけるも、うまくいかない毎日であります。