コーヒー愛好家の人なら密かにこだわりがある抽出法、ここで紹介するコーピーサーバーは「水出し」方式、「Wiswell Cold Brew Water Dripper」です。
6水出し抽出って?ドリップとどう違う?
通常のお湯を注ぐタイプコーヒー抽出は、熱湯で抽出します。一方水出し抽出は文字通り、水で抽出する方法です。
コーヒーを熱湯、お湯で抽出すると、抽出時に珈琲が少しばかり酸化されてしまうので少し味が変わってしまう、本来のコーヒー豆の味になていないというデメリットが生じます。一方、水出しは酸化が最小限で抑えられるため、味が自然、ナチュラルに仕上がるというメリットがあります。
ただし、水出しは抽出に時間がかかります。また時間をかけるほど、濃くおいしいという抽出法ですので、忙しい人には人気がありません。
水出し抽出にコツはある?ドリップと比較
お湯を注ぐタイプの抽出は、お湯の温度が味を決めるコツになります。また、コーヒー粉末の温度も味に影響しますので、意外とホット・ドリップはおいしく飲むためには技術が必要な抽出法です。
一方、水出し抽出は温度は冷たすぎたりしない限りは、特に気にする必要はありません。抽出完了までに時間がかかるだけで、さほど技術は必要とされません。
具体的な水出し抽出の器具は?
水出し抽出には、大きく分けて2通りの方式があります。
一つは「水出し浸け置き式」、二つ目は「水出し滴下式」です。雑に違いを説明すると「水出し浸け置き式」はコーヒー豆を挽いた粉を、水に浸けてコーヒーが水に染み出てくるのを待つ方式、「水出し滴下式」は普通に水を一滴ずつ垂らしてコーヒーを染み出させる方式です。
安く手っ取り早く水出しを試すには「HARIO フィルターイン コーヒーボトル FIC-70」が代表的な器具です。この器具は「水出し浸け置き」式で、コーヒー豆を挽いたものを付属のフィルターの中入れて、水の中に浸けておけば数時間で抽出が完成します。
次は、今回紹介する「Wiswell Cold Brew Water Dripper」が「水出し滴下」方式です。
5水出し滴下方式、iwaki K-8644 と Wiswell Cold Brew Water Dripper はどう違う?
水出し滴下方式のコーヒーサーバーで、国内で最も有名、定番化しているものは「iwaki ウォータードリッパー K8644-CL1」(容量440ml)です。こちらは2,000円ほどで入手できて、誰でも手軽に水出しドリップすることができるのですが、滴下量をコントロールできない製品です。
一方、「Wiswell Cold Brew Water Dripper」(容量350ml)は滴下量をコントロールできる仕様になります。
iwaki K-8644 | Wiswell Cold Brew Water Dripper | |
持ち運びやすさ | 容易(本体472g) | 容易(本体456g) |
容量 | 440ml | 300ml |
滴下速度 | 調整不可 | 調整できる |
抽出時間 | 約2~3時間 | 約15分~5時間 |
濃縮度 | 普通 | 高い(約2倍) |
メンテナンス | パーツが少なく用意 | 分解して洗浄可能 |
径×高さ | 12×26.5cm | 8.35(6.8)×28.1cm |
一度に作ることのできるコーヒー量は「iwaki K-8644」の方が一見多そうに見えますが、実際は「Wiswell Cold Brew Water Dripper」の方が濃縮されたコーヒーの濃縮液になりますので、水や氷と混ぜた際はこちらの方が多くなります。メンテナンスは「iwaki K-8644」の方が単純で容易ですが、「Wiswell Cold Brew Water Dripper」も大きくパーツに分解できますので難しくはありません。
また、「iwaki K-8644」のできることは「Wiswell Cold Brew Water Dripper」でもできると勘違いしないようにしてください。実際の滴下する水滴の大きさが違うなど、上位下位互換関係にはありません。よく似た機能ではありますが、別の器具と考えてください。
最大の違いは「Cold Brew Water Dripper」の方は「水量を自由にコントロールできる滴下式」だという点です。コックを開け締めすることで、滴下速度を調整することができます。
水の落ちる速度を変えれば、抽出時間を短縮したり長くしたりできるわけで、コーヒーの濃度や味わいを調整することができます。このおかげで、好みのすっきり味を探求できます。抽出速度を遅くすれば、より濃縮されます。現実的な抽出速度としては、おおよそ4時間以内に終わるようにすると、ほぼ満足する水出しテイストに仕上がります。
4水出し抽出の味はどう違う?ドリップと比較
抽出の手間、準備とそのわずらわしさをクリアしても、肝心のコーヒーの味が、その労働に見合うものでない限り、水出しの価値はありません。
本当に水出しは美味しいのでしょうか、管理人の私自身が水出し抽出歴10年以上(ホントはその倍近いかも)のマニアですので、少々語らせていただきたく思います。
普段は時間の関係で、水出しを多用するわけでもないのですが、アイスコーヒーの時はほぼ100%水出しを利用しています。また、いいコーヒー豆を入手したときも必ず水出しを試します。理由は、水出しが一番、生の豆(もちろんパウダーにしますが)の品質を感じやすいからです。逆に、古くなったコーヒーはお湯でドリップして、古さ(酸化具合)をごまかすこともあります。
そこそこの品質の焙煎した豆を使い、細引きにしてドリップと水出しを比較すると、明らかに水出しの方が豆の風味が残ります、しかも苦みの後にほんわかと甘みが押し寄せる後味になります。よく言われる表現をすると、まろやかになります。一方、ドリップで同様の品質に淹れることができるかといえば、相当の経験と腕が必要です。ちなみにコーヒー専門店で、ドリップで水出しと同レベルのコーヒーを飲んだことがあるので、淹れ方の腕次第だと思います。
3アイスコーヒーなら水出しが圧倒的有利
まだ暑い時期ですので、アイスコーヒーが必要な人も多いと思います。実は冬でも、アイスコーヒーは美味しいのですが、あまり飲まれないのは残念なところでもあります。
一般には、アイスコーヒーは急冷式で素早く淹れることが多いと思います。水出しだと途中の余計な酸化プロセスを抑えて、すっきりと仕上がるのでおいしく感じる人が多いのも事実です。しかし、水出しは抽出時間が長く必要なのが悩むところです。
実際はコーヒー豆次第
水出し抽出とドリップ急冷式でアイスコーヒーを淹れ比べると、風味がどう変わるかをまとめてみます。
テスト豆は「スターバックス ダーク ロースト(フェアトレード イタリアン ロースト)」です。テストする豆によっては、印象が異なるかと思うので以下の表は参考程度にとどめてください。
ハンドドリップ急冷式 | 水出し滴下 | |
抽出時間 | 早い | 時間がかかる |
香り | 鼻から抜けるようにしっかり残る | 香りも甘さも感じられる程度に残る |
後味 | 長く強く残る | 弱く滑らかに残る |
酸味 | 失われがち | 主体的に残る |
苦味 | 強く残る | 普通に残る |
甘味 | どちらかというと強く残る | 普通に残る |
トータルバランス | 無糖缶コーヒーが好むバランス | コーヒーとしてはさっばりとする |
主観をできる限り排除したつもりですが、水出しは一言でいうとさっぱりとしたコーヒーになります。悪く言うとジュース的、よく言うと飲みやすい、のどに吸い付く感じです。ドリップ式は、こってりとした感じになって、後味も長く残ります。
同じ水出し式でも、浸け置き式は滴下式よりも、コクを抑えたすっきり感が強く出ます。
この性質を冷静に見ると、水出しだからどんなコーヒーでもおいしく飲めると、単純に考えるのは間違いだとわかります。選ぶコーヒー豆によっては、ジュースっぽくなってしまうのが水出しです。
例えば、間違って深煎りで苦みの強いコーヒー豆を買ってしまったような場合、水出しで抽出するとすっきりとコクを抑えて飲むことができます。アイスで飲めば、ゴクゴクと飲めそうなすっきり感を味わえます。
2どのようなコーヒー豆を選ぶと、水出しで美味しいの
苦みを抑えて酸味を生かせるのが水出しのメリットだとすると、苦みが必要な方は苦みを基準にしていいと思います。香りがハンドドリップに比べて抑えられてしまうのがデメリットでもあるので、香りを楽しみたい方は少し強い香りの豆を選ぶといいかもしれません。カフェなどでホットで普通に味わえる豆だと、ジュースっぽく、スッキリしすぎてしまう可能性もあります。
水出しに向くコーヒー豆の焙煎(ロースト)は?
焙煎の基本8段階の6段階目の強さ、フルシティロースト以上の焙煎がおススメです。
6段階目あたりから酸味は少なくなり苦味のほうがよく感じられ、コーヒー豆の表面に、油が出てくるのが特徴です。
水出しで抽出し、ホットにして飲む場合はシティロースト(5段階目)とフルシティローストの間でもいい感じで飲めます。
違いは酸味をどれくらい残すかで、豆次第というところでもありますので、原則にとどめておきましょう。
コーヒー豆より、豆の挽き方がポイント
コーヒー豆は粗挽きはドリップの方が向いています。水出しで粗挽きを使うとどうしても味が薄くなりがちです。豆は中挽き、細引きあたりの細かめにします。
抽出時間はどうする? Cold Brew Water Dripper の抽出速度による味の違い
滴下速度を調整できる「Wiswell Cold Brew Water Dripper」で、速度別の大まか違いです。
抽出時間 | 濃さ | コク | 香り | 苦み | 甘み | 酸味 | 後味 |
15分 | 薄 | × | △ | ○ | × | × | × |
3時間 | 濃 | ○ | △ | 苦み | ○ | ○ | すっきり |
5時間 | 濃 | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | まろやか |
水出しの場合、抽出時間もポイントになります。「Wiswell water Dripper」 は抽出速度を速めて15分程度で抽出を終える設定も可能です。ただし、さすがに15分抽出はたかが知れています。苦味はわずかに残るけれど、コーヒー味のジュースとでもいうか、一昔前の炭酸入りコーヒーみたいな異文化風の味になります。はじめは新鮮ですが、飽きる味です。
一方、5時間程度で抽出すると、ほぼ水出し風の臨んだすっきり味になります。香りもしっかり保持しつつ、まろやかに抽出できます。
5時間程度ので抽出した方が3時間で抽出したものより、まだ濃くて氷をたくさん入れるアイスで飲むか、カフェオレで飲まないと濃すぎます。オススメはカフェオレ、ミルク次第でとてもおいしく仕上がります。
1本製品はどんな方にオススメ?
- 夜コーヒーを作って、朝に飲む、外に持っていく人
- コーヒーの酸味を何としても逃したくない人
- コーヒーはコクよりまろやかさを愛する人
- 味のためには抽出時間は気にしない
- 試行錯誤して、コーヒーの味を確かめたい
最後に、少しでもお得に買うには
「Wiswell water Dripper」は器具としては15,000円程するものなので、少し高価に感じる人が多いと思います。現在のところ、取り扱いが Amazon しかないのですが、Amazon で価格は 12,000 円前後で、時折タイムセールで出品されています。少しでも安く手に入れたい方は、タイムセールを狙ってみてください。
逆を返せば、朝の忙しい時間にサッとコーヒーを淹れたい人には向きません。朝飲むためには、前日の晩に抽出を始めておけば、普通に飲めます。抽出滴下速度を、毎晩変えて翌朝に仕上がるようにセットしておくと、朝のコーヒーが楽しくなるかもしれません。
コーヒー好きな方で、水出しに興味のある方は、チェックしてみてください。
安く旅すること、デジタルモノを安く手に入れること、そして安くても使いこなすことをモットーにブログを書いています。典型的なデフレ対応型なんだなと自覚しつつ、日夜物欲と対峙し断捨離を心がけるも、うまくいかない毎日であります。